約9年間、訪問看護ステーションでリハビリをさせていただいた感想

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この4月からステーションを離れ、母体病院の回復期病棟へ異動する事になったちんねんです、こんにちは

 

 

最近はセラピストの勤務先も病院など医療機関から在宅への流れが目立つようになってきました

なので今回ぼくの場合は思いっきりになります(・_・;)

以前に和歌山にいた時にも回復期病棟には4年ぐらいいたことがあるので、何となくどういう病棟なのか想像する事はできます

ただ制度変更も何度かあった後なので以前とは多少変わっていると思いますし、また病院によってはある訳なので今後も楽しみです

また何よりちょうどうちの爺ちゃんもその回復期病棟にいるので、職場からo分で病室にいける環境

最高です

ぼくはなかなかついています

 

 

愛媛に帰ってきたのは、うちのバアちゃんが脳卒中になりそのリハビリのためでした

和歌山から今治に戻ってきたのが2009年1月なので、かれこれ9年今のステーションにいた事になります

いつの間にか和歌山の病院にいた時よりも長くなっていました……早いものです

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4月から回復期病棟に異動する事になり、とっても伝え辛かった担当の患者さんやご家族への報告も終えたので、愛媛に帰ってきてからを少し振り返ってみます

在宅に行ってみようというセラピストも増えているので参考になれば嬉しいです

 

 

 

在宅は自分を鍛えられる場所

ステーションでの毎日を振り返ってみると 患者さんやご家族から頂くお題を「理学療法」を軸にゴリゴリ解決していく、という事を繰り返してきました

患者さんやご家族からはいろんなお題を頂く事ができて、ぼくは鍛えられたと感じています

本当にエキサイティングな日々でした

 

 

在宅で痰の多い患者さんや息苦しさの強い患者さんから楽にするにはどうしたらいいのか求められて、呼吸や心臓のリハビリを勉強して、その過程で呼吸療法認定士の資格をとったり、今年の夏心臓リハビリテーション指導士の試験を受ける予定になっています

パーキンソンの患者さんや家族さんからどんな運動をしたらいいのか、と質問されて自信をもって応えるためにLSVT@BIGの資格をとりました

また訪問時に患者さんが急変した際には、ちゃんと対応できなきゃまずいという事で、消防署の救急救命の講習に参加したり、それだけでは不安だったのでBLSの資格もとりました

癌の郭清術後だったり末梢循環障害により、四肢が浮腫っている患者さんのだるいのでなんとかして欲しい、という訴えに対して何かいい方法ないか、とう思いで徳島でリンパドレナージを学びにいったりしました

介護保険下でのリハビリが多く患者さんやご家族から介護保険について相談される事が増えてきたので、これは正確に答えられないとまずいなという事でケアマネの資格もとりました

また在宅で安楽に生活しつつ活動量を維持するために、環境を整えてしまえばぼくの代わりに環境が24時間毎日リハビリをしてくれる事に気づきました

そこで環境調整のために住環境福祉コーディネーターの資格をとったり、自分でDIYしたりして今ではいろんな工作機器を使える様になりました

自分で作る楽しみや喜んでもらえる嬉しさに気づき、ぼくの大きな趣味の1つになりました(^^)

加えて患者さんは大丈夫でも、介護をしてくれている(高齢な)ご家族が転倒して入院してしまい、患者さんが不本意ながら入所しないといけなくなった経験から、患者さんだけではなくご家族も転倒しないようにするために何かできる事はないか、という事で介護予防推進リーダーの資格をとったりしました

 

以上の様に、ぼくが持っている理学療法士という資格以外全て、このステーションで勤務する様になってから取得したものになります

必要性にかられてとったものですけど

このステーションで働かなかったら取ろうとも思わなかったじゃないでしょうか

 

 

また特にターミナルの患者さんやご家族との関わりで感じる事が多かったのは、患者さんやご家族からすると「リハビリ」というのは最後の希望 とされている感がありました

 

思い上がってんじゃねぇ!!と叱られそうですが(・_・;)

 

もちろん患者さんや家族さんは病気自体を直してもらおうと思っている訳ではなくて「リハビリ」で家で安楽に過ごせる事を希望されているんです

また自分は「リハビリ」という治療を受けているんだという「見放されてはいない感」が安心につながるとおっしゃる患者さんもいらっしゃいました

安楽に動けるための方法や環境調整、またリラクセーションや運動療法等により直接的に倦怠感の軽減を図ったり、たとえ動けなくても自分の意思を周りに伝えるための機器の設置や方法など、ターミナルでも理学療法士にできる事は沢山あります

そんな患者さんやご家族の思いに少しでも応えられるようモガイた日々でもありました

それで9年という期間も短く感じてしまっているんだと思います

 

 

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また病院でのリハビリとの大きな違いとしては

訪問毎に患者さんやご家族から直接お金を頂きます

病院だと事務方に任せっきりでしたから、お金をいただいているんだという意識がどうしても希薄になってしまっていたと思います

 

介護保険を利用されている患者さんの殆どは1割負担なので毎回800円ちょっと頂くのですが、実際は8000円ちょっともらっている事になります

8000円は本当に結構な額ですよ

美味しい松月堂の太鼓まん※が80個も買えちゃう額です

(※今治にある和菓子屋さんの美味しい大判焼き。また記事にします)

 

1回のセッションで自分はそれだけの価値のある事をしているのか?

もし自分が患者だったら気分良く払えるだろうか?

松月堂の太鼓まん80個食べたぐらいの満足感や幸せを患者さんに提供できているのか?

そのような事を毎回問われるような緊張感を在宅では得ることができます

なのでぼくは毎回できるだけ爪痕は残すようなリハビリを心がけていました

 

 

 

また最近の病院のリハビリはどうかしりませんが、ぼくが病院で働いていた頃は、患者さんがセラピストを指名する事はなく、病室に来たセラピストのリハビリを受けるというのが普通で、それに文句をいう患者さんはいませんでした

もちろんその頃でも主導権は患者さんやご家族にある、と建前的にはなっていましたが、患者さんやご家族は「病院で診てもらっている」という意識が強いためか、主導権はどうしても病院にあったのではないかと思います

例えば自主練習にしても入院している方の方が明らかにしていただけます(・_・;)

 

 

しかし在宅ではどうかというと、主導権は思いっきり患者さんやご家族にあります

気に入らなければ自主練習なんてしてくれませんし、最悪リハビリが打ち切りとなってしまう事があるんですね

打ち切りは結構応えます

 

ぼくの場合も9年間で1例あり

認知症の方のリハビリを担当させてもらったのですが、当時もかなり考えてリハビリをしたのですが、何をしても拒否的な反応が返ってきました

一体何が悪かったのか?

こうすれば良かったのか?……と今でも思い浮かべる事が結構あります

 

こういった病院とはまた違った厳しさがあるので、在宅は本当に自分を鍛えるいい場所です

 

 

 

在宅は人間関係について考えさせられる

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また訪問は患者さんとご家族が生活している場にお邪魔する訳なので、人間関係というものがモロに伝わります

 

患者さんと良好な人間関係を作っているご家族、逆に刺々しい関係となってしまっているご家族

きっつい言葉かけなのに、やっていることは優しいツンデレなご家族や患者さん

経済状態はとっても厳しいはずなのに患者さんには問答無用でお金をかけているご家族、しかもぼくに毎回何かをもたせようとする……

むっちゃくちゃ経済状態は恵まれているのに、患者さんにほとんどお金をかけようとはしないご家族

金銭的にも家族にも恵まれている患者さん

長生きして申し訳ないと言う患者さんと、どんな形であれ生きていてもらいたいと思う家族

 

家族とは何なのか?

幸せとは何なのか?

 

人間関係に疎いぼくでも考えさせられる事が非常に多い環境でした

またぼくのロールモデルとなる家庭にも出会えたのは大きな収穫でした

 

 

 

在宅は意外と最先端

訪問する前はぼくは在宅に病院で使えるような機器が少ないため、十分なリハビリができないのではないかという誤解を持っていました

 

介護保険ではいろんな機器をレンタルできたり補助が出たりするため、病院よりも最新の機器が家に入っているお宅ってあるんですよ

また病院では難しくても在宅での主導権は患者さんとご家族にあるため、患者さんやご家族がOKであれば意外とすんなり使えたりする事があるんですね

あれ!テレビやネットで出ていたのがあるって驚いた事も何度かありました

 

また機器だけではなく、急性期病院に入院する前っているのは、ほとんどの方は在宅で生活されています

急性期、回復期、在宅という順番でどうしてもぼくらはとらえやすいですが、急性期の前には在宅がある訳なんですね

そういった意味でも在宅は最先端と感じています

在宅でいかにいい状態を保っておくことが、急性期、回復期以降に関わってくるという事もこの9年でMAJIDE実感する事ができました

 

 

 

最後に

4月からの訪問で患者さんやご家族に会えないのは非常に寂しいのは確かです

まだまだこれからという患者さんも多くいらっしゃいました

後1ヶ月で後任の方にしっかり引き継ぎたいと思います

 

今後は回復期病棟でもより在宅を見越した関わりをしていきたいと思っています

ぼくがいる回復期病棟で皆さんに再び会う事がない様、在宅生活を楽しんでください

でも万が一入院する事になっても全力で家に返します

 

本当にありがとうございました

 

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4件のフィードバック

  1. お疲れさまです。
    いつも記事を拝見しいい刺激を頂いております。
    ◯◯さんと一緒に働ける方はいい勉強になるだろうと羨ましく思います。回復期頑張ってください。

    • ●本さん、お久しぶりです
      コメントありがとうございます

      本名だったので●字で一部伏せさせてもらいました(;^△^)
      メアドも加工しました
      ごめんなさい

      今回、回復期に移り沢山のセラピストがいる中で理学療法をするのは9年ぶりなので、いい刺激を受けると思います
      ぼくらが受けた教育とはまた違った教育を受けた受けた方も多いと思うので、教えてもらおうと楽しみです

      ●本さんも今も急性期に関わられているのですか?

  2. はじめまして。
    本日、筋トレ記事から検索でお邪魔しまして、
    最後のさいごに、PTさんのお仕事をされていると知りました。

    私の父親はパーキンソンで訪問リハを受けていますが、
    父親自身が余りポジでは無い+リハの先生もやってる感が強く
    積極的なプロ意識が伝わってきません。

    上記文面の中で、「8000円いただいている仕事が出来ているだろうか?」
    と書かれており感動した次第です。
    私自身は同居しておりませんが、今後は積極的に父親のリハに関わって行こうと
    思いました。

    これからも頑張って、周囲の方々を幸せにしてあげてくださいね。
    稚拙なコメで失礼しました。

    • コメントありがとうございます

      パーキンソンの患者さんは病気の影響で動こうとされる方は少なかったり、あるいは自分では動いているつもりの方もいらっしゃいます
      ひょっとしたらお父様は頑張っているのかもしれません

      ぼくと同じPTが「ただ何となくリハビリやっている」とご家族に思われてしまっていることはとっても残念な事です
      リハビリといえどサービス業なのでここは奮起してもらいたい所
      パーキンソンは徐々に悪くなっていく病気ではありますがリハビリができる事は沢山あるはずですから

      ぼくが今まで訪問で関わらせて頂いた方は、ご家族の関わりが少しでも多い患者さんの方がよい経過を辿っています
      mukkuさんの普段の生活に支障がでない範囲で関わってあげるとお父様は非常に助かると思います

      PTとしてはまだまだなので、これから少しでもいいリハビリを患者さんやご家族に提供できるように頑張っていきたいと思います

      激励ありがとうございました m(_ _ )m

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