心リハ学会のライブ配信を受講(第6回 北陸支部地方会2020/10/24)
はじめに
先日心臓リハビリテーション学会からメールで北陸で地方会(講習会)があるので参加しませんかという案内が届きました
こんなの
場所が場所だけに参加するのは難しいだろうなと思いながら、地方会の内容を確認してみると
コロナの影響もありweb開催、しかも以前に心リハ研修でお世話になった勝木先生が座長として参加されているし、あの高橋哲哉先生の講義もあるという事を知り、即受講決定
またこの地方会に参加すると指導士更新単位の3単位分がgetできるで更に助かります
ぼくの場合、2018年に心リハ指導士の資格を得たので、2023年までに50単位が必要なのですが、また24単位しか取得してないんですね(・・;)
現在の取得状況はexcellで管理しているのですがこんな感じ
今年開催された学術集会も参加したのですが、それでもあと26単位も必要です
コツコツ稼いでいかないといけない……
後から心リハ学会のHPでこういうweb開催のものがないか調べてみると、学会の心リハ指導のタブの中にある、「指導士更新単位が得られる関連講習会等」に結構受講可能研修会が公開されているので、早速追加で2つ受講を申請しました
こちらがその講習会の紹介ページ
遠隔地ですがwebで受講可能な講習会が結構あります!
心リハ学会のHPも時々チェックしておかないといけないですね
危うく受講が可能な講習会をスキップしてしまう所でした(・・;)
今回の地方会も本当に有益なもので参加して良かったと思うものでした
忘備録を兼ね箇条書きに書いておきます
ただ今回の内容もぼくというフィルターを通したものなので、思い違いなどのバイアスがかかっています
なので講義をしていただいた先生方の意図と異なる事をご注意の上、参考にしてみて下さい
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1.心不全患者の骨格筋と栄養からみた運動処方 京都府立医大循環器内科 白石裕一先生
・近年の心不全患者の特徴としてHFpEFが多く、しかも重複障害
・古くはヒポクラテスの著作の中にも心不全やカヘキシアの記載あり、その中で栄養の大切さについても触れられている
・サルコペニア + 体重減少 = カヘキシア
・骨格筋障害の要因の1つに右心機能低下がある
栄養状態の悪い方は右房圧(RAP)が高い事が多く、RAPと相関が高いものに肝硬度(肝臓にエコーを当てて計測する検査)や頸静脈が張りなどがある
・RAPが上がると腸管が浮腫む→ 栄養の吸収障害や腸管内のバクテリアが血中に入り炎症性サイトカイン増加 →栄養不良(左心系では腸管虚血から吸収障害)
・カヘキシアの方が腸管の厚みが厚くなっているという論文もあり、カヘキシアの予測には左心系よりも右心系の指標がより関連する
・下大静脈の呼吸性変動がない→ RAP↑ 、頸静脈の張り↑
・筋量および筋力が運動耐容能と相関がかなり強いため、きちんとfollowしておく必要がある
その筋量の評価をするのに、in bodyなどのBIA(デバイズが入っていると計測できない)やCTなどがあるが、エコーでの筋厚測定(デバイスが入っていても計測可)
右大腿直筋短軸で計測。peakVO2(R:0.5)、握力(R:0.6)、栄養関連指標(CONUT ,GNRI など)と高い相関(p<0.01)
厚みが15mmがサルコペニアのカットオフ値。これを超える事をめざす
・低栄養の原因には大きく分けて5つあり、①腸管浮腫による吸収障害、②貧血、③食欲とくにZn不足による味覚障害(Zn不足の方は予後不良というデータあり)、④経済的な問題、⑤摂食嚥下機能低下。
・栄養評価方法は大きく分けて2つ、①食事摂取状況の評価、②摂取栄養量の算出:タンパク質摂取は主に副食からであるが、タンパク合成は食後2~3時間しか続かないため、毎食きちんと摂取する必要がある
・エネルギー摂取量も大事。少ないとタンパク合成不足になる。だがハリスベネディクトの式などを使った推定エネルギー量の算出等も行わず取り敢えず1600kcalで処方される場合が多い。これでは患者によっては少なすぎたり、多すぎたりする場合がある。
・また入院患者の75%は必要エネルギーを十分に摂取できていない状態でENTしているという研究報告もある(処方されてはいるが食べれていない場合がある)→ 食事摂取状況の把握が大事
・タンパク質・必要エネルギー摂取のみでは筋量は増えず、運動による刺激が必要。
2.心疾患患者・家族の心理的特徴と精神的支援 国立循環器病研究センター 心臓血管内科部 庵地雄太先生
・「人の心」は4つの要素からなる。①認知機能や知的能力などの生理、②知識や経験などの思考、③抑うつや興奮などの感情、④は①~③の影響を受けた結果としての行動
・意欲が乏しい&希死念慮のある患者に対しては、心地よいケアと環境を整える事を意識
例として足湯:和温療法による効果として、身体を温める事で疲労感・不安感・気分の落ち込みの軽減
身体を温める=ストレスコーピング & うつ対策
・TypeDの患者に対する再発予防のためには、安心感を高め、自身を回復する様な関わりを行う
患者の生活を否定しないが(寄り添い)、不適切な行動は肯定はしない → 医療者と一緒に自分を知る
患者の否定的な言葉を長所に変換して伝える(リフレーシングという認知療法)と療養指導の準備となる
・患者を変えるのではなく、患者が変わるサポートを行う
モチベーションを上げる3step
①変わりたい気持ちを捕まえるCatch、②変われない理由は何なのか考えるReady、③自信を補強し実践への抵抗を下げるTry
・「ナッジ」理論(肘でちょっと突く)……患者が気づかないぐらい、そっと背中を押す
人は常に合理的とは限らず、人は無意識に色んなものの影響を受ける。ただ明確な指示には従いやすいという特性(EAST framework)を持つため、これを利用する
・患者、家族に対する関わり
ACP(advance care planing) 患者の意思決定を支援していく
ACPの前に心臓リハビリだからできる事、患者、家族の予後についてどの様に思われているのかを聴き、対応していく
3. 高齢心疾患患者の生活機能・生活行為と運動療法 順天堂大学保健医療学部 高橋哲也先生
・高齢者入院が多く、その多くは下肢筋力低下が強い(抗重力筋。特に下腿3頭筋>大腿四頭筋)
年齢を重ねるほどフレイルの割合増加
フレイルの重症度は心不全の全死因死亡率に関連
⇒ 対フレイルが重要・・・従来の歩行練習・自転車エルゴ・ADL訓練中心の心不全のリハでいいのか?
・フレイルの評価にSPPBが有用であり、SPPBの要素であるバランス、歩行速度、椅子からの起立着座は、それらの要素を意識したトレーニングをする事でフレイル予防につながる。バランスは転倒予防に、歩行速度は動作の俊敏性に、椅子からの起立着座は筋力増強と動作の俊敏性に対応する
⇒ SPPBに関連する記事はコチラ
患者個々の機能レベルに合わせて、運動種目を換えていく必要がある(特異性の原理)
順天堂病院では、SPPBの各要素のレベルに合わせた訓練プログラムを決めて行われている
例えばバランスの要素でセミタンデム立位が10秒できる人(2レベル)ならば、バランスプログラムでは両足を揃えてリーチ練習をする、といった感じ。セラピストによるバラツキがない。
弱い所に集中的なトレーンングが行える
ただ問題点としては、SPPBの各要素の改善がそのままADL、IADL改善に繋がっているのかは検証されていない
活動・参加(=行為)へのアプローチも必要
行為というのは、ある意思(モチベーション)を持ってする行いであるため、自立した生活機能、そして生活行為の再獲得を目指す視点がないと全体的なリハビリテーションの成功にはつながらない
・重症患者では特に下肢筋力低下が著しい(指数関数的に減少)
ICUにいるような重症心不全患者においても、生活を意識した運動(ボール等を使った下肢のリズミカルな運動、ADL時に使用する筋を意識した筋力増強運動)を行うべき
早期離床させ歩かせればいいという訳ではない(歩行は2割程度の筋力で行える)
最後に
今回の講義を受講した事で、エコーなど使用した新しい評価法を知り、検査結果に対する新しい見方を学ぶ事ができましたし、また患者さんに寄り添う関わり更に意識して行っていこうというモチベーションが湧いたり、SPPBを用いた評価に基づいた治療プログラムの決定など新しい武器を知る事ができました
コロナのおかげて対面講習会はほとんどなくなり残念ですが、遠隔地で開催される講習会にwebで気軽に参加できる様になった事は福音でした
心リハ学会のHPにweb受講可能な講習会が紹介されているので、受講可能なら参加されてみる事をおすすめします
今回講義をしていいただいた先生方、事務局の方々、本当にありがとうございました
どこかの誰かの参考になれば嬉しいです
頑張っていきまっしょい!
学会・研修会など
・高橋哲哉先生の講義を聴きに行ったよ!(第21回愛媛県理学療法士学術集会)
・また高橋哲也先生の講義を聴きに行ったよ!(第21回愛媛心臓リハビリテーション研究会)
・ABCDEバンドルと維持期 (訪問看護・訪問リハビリ)
・リスク管理、スターリングの法則、拡散障害
・高血圧治療に関する勉強会に参加(今治医師会勉強会)
・第27回愛媛心臓リハビリテーション研究会に参加
・「運動療法エビデンスレビュー」お勧め!
・心臓リハビリテーション(リスク管理)について講義してみた
・心リハ学会のライブ配信を受講(第6回 北陸支部地方会2020/10/24)
・臨床実習指導者講習会に参加(2020/11/7~8)
心臓リハビリテーション指導士受験記
(2015/2/24)心臓リハビリテーション指導士のテキスト(心臓リハビリテーション必携)が届く***①
(2015/3/24)学会誌届く***②
(2015/4/1)(朗報)過去問いっぱい!!***③
(2015/4/20)個人販売の問題集を購入!*** ④
(2015/11/8)心臓リハビリテーション指導士の自作問題ほぼ完成!*** ⑤
(2017/1/8)心臓リハビリテーション研修制度を利用してみる!***⑥
(2017/4/1)「看護の現場ですぐに役立つ モニター心電図」を読んでみた!***⑦
(2017/4/15)2017年度 心臓リハビリテーション研修 に申し込み***⑧
(2017/5/22)心リハ指導士研修の研修先が決定!***⑨
(2017/6/18)心リハ研修に向けて準備(勉強的な事「CPX・運動療法ハンドブック 改訂3版」を買ってみた・実務的な事)***⑩
(2017/7/15)心筋梗塞の勉強会に行ってきた!(カトレアの会)***⑪
(2017/7/18)心リハ研修…愛媛から石川県まで電車で行く事になっちゃった!***⑫
(2017/8/22)小松の人は優しい!(心臓リハビリテーション研修中)***⑬
(2017/8/27)心リハ研修を終えてみて***⑭
(2017/9/19)心リハ研修に持っていったもの(1週間程度の出張パッキング)***⑮
(2017/10/28)来年7月の心リハ指導士受験に向けて宿泊地を予約***⑯
(2018/2/10)ipad pro10.5(Wi-Fiモデル)を使った 心リハ指導士試験勉強法***⑰
(2018/4/5)心リハ研修の受験資格証が届いたので受験申請書類を準備***⑱
(2018/6/18)心リハ指導士の書類審査の結果が届く***⑲
(2018/7/6)心リハ指導士試験の受験票が届く***⑳
(2018/8/2)2018年度心臓リハビリテーション指導士試験を受けてみて(講習会・試験会場)***㉑
(2018/8/23)心臓リハビリテーション指導士合格しました!!***㉒
(2018/9/8)指導士認定書が届く***㉓
(2019/2/19)心リハ学会の全国指導士名簿に記載される***㉔
(2019/9/2)2019年度の心臓リハテーション指導士試験を受けられた方の感想***㉕
認定理学療法士(循環)受験記
(2018/4/17 )ついでに認定理学療法士(循環)も目指してみる***①
(2018/4/29) 認定必須講習会(循環)に向けて準備***②
(2018/5/6) e-ラーニング(技術編Transferシリーズ)を受講***③
(2018/5/19) 広島までポイントをゲットしにいく(非外傷製慢性下肢創傷形成予防研修会)***④
(2018/9/10) 必須研修会(循環)と 指定研修会受講 と ポイント申請***⑤
(2018/10/15)理学療法士協会からポイント反映のお知らせが届く***⑥
(2018/11/1)受験のためのweb申請終了***⑦
(2019/2/4)受験票が届く***⑧
(2019/3/3)2018年度 認定理学療法士試験(循環)を受けてみて***⑨
(2019/5/15)認定理学療法士(循環)合格しました!***⑩
(2019/5/31)認定理学療法士(循環)の認定書が届く***⑪
(2020/11/7~8) 臨床実習指導者講習会参加