ポストリフトって知ってます?(僕がよくする肺理学療法手技)

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はじめに

前回は肺理学療法手技の1つ「呼吸介助」について説明させてもらいました

呼吸介助についてまとめてみたよ!

 

↑  後輩向けにまとめたものなので興味のある方はどうぞ!

 

 

 

今回は、臨床で看護師さんがしているのを見かける事はほとんどない手技ですが、患者さんからいいフィードバックが得られる事が多いので紹介します

 

 

ついでにぼくがこの手技する際に工夫している事なども書きます

「ここがちゃうんじゃないか、また、こうしたらいいんじゃないか」などのアドバイスを頂けるとむっちゃ嬉しい

 

 

その手技の名前は「ポストリフト」 っていいます

代表的な肺理学療法手技である「呼吸介助」や「スクイージング」が患者さんの呼気時に徒手的な介入をするのに対し、この手技は吸気時に介入する珍しい手技

 

ぼくらが徒手的に吸気に介入するものとしては、ALSなどの拘束性換気障害のある患者さんに、胸郭の柔軟性の維持改善する目的で行う最大強制吸気量練習( MIC ) ぐらいじゃないかな

吸気に合わせてアンビューでゴシゴシ入れるやつです

↓ こんな手技

国立療養所刀根山病院 理学療法2008 3版 P30より引用

 

 

それに比べるとポストリフトは気胸など起こすリスクは低いので使いやすいとぼくは思っています

 

うちの爺ちゃんをモデルにポストリフトやっている図

2

背抜きではないですよ (^^)

 

簡単にこの手技の説明をしていきます

 

 

 

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定義や目的など

定義は「仰臥位にある患者の背部に術者の手を入れ、吸気時に持ち上げる手技」 1)  とされ、「仰臥位における背側の換気改善、吸気量の増加」 1) を目的に行われます

 

上記の目的なのですが、「呼吸介助」の様に 「どのくらい換気量(吸気量)が増えたのか」 具体的なデータを見たことはありませんし、本当に「背側の換気が改善している」ことを書かれた論文をぼくは見たことはありません

 

 

ちんねん
ちんねん
「呼吸介助」については、施行することで換気量がどのくらい増えたのかを示したペーパーは結構あります!

ぼくの知っている最新のものは、「呼吸介助習熟度評価表の評価者間一致度及び一回換気量増大に影響する要素の検討.田中貴子等.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌2015年第25巻第1号95-98」 になるのですが、それでは呼吸介助をすると安静時の約2倍近く増えています

 

この「ポストリフト」も呼吸理学療法手技一般の問題点と言われている「経験的な側面が強く科学的根拠が不十分」2) なものの1つなのかもしれません

 

だからといってぼくは否定はしません

経験的な側面が強くても、患者さんにメリットがあればいいと思っています

ただ皆んなを納得させるには説明不足といった感じと受け取っています

 

 

そんな手技ではあるのですが、身体を動かしてはいけない、あるいは動かすと苦痛などが観られる患者さんに対して、この手技を使う事が多いです

ぼくはこの手技の効果は吸気量増加うんぬんより、むしろリラクセーション効果が高いのではないかと感じています

 

 

 

吸気量の変化は実測していないためわからないですが、施行する事で表情が穏やかになったり、施行直後および施行後数時間程度の呼吸数減少、Spo2増加、背側下肺野の肺胞呼吸音減弱の改善などを認める事も多いです

また何より、コミュニケーションが取れる患者さんからは「気持ちいい」「またして欲しい」 と言われる事があるんですね

 

そんなメリットをぼくは実感しているので、「スクイージング」や「呼吸介助」だけでもなくこんな手技もあるんです! と今回紹介したくて記事にしてみました

 

 

 

またぼくの好きな寄本先生の肺理学療法の考え方に「日常生活での肺の動きをベッド上で再現する」というものがあります

かなり難しいんですけどね

肺にとっては離床はメリットだらけという事は皆さん承知だと思いますが、治療や痛み等で殆ど仰臥位の状態から動かせない(動かしてはいけない)患者さんというのは、数は少ないですが必ずいらっしゃいます

ぼくの臨床では癌のターミナルの方 や神経難病の方

その場合でも、この「ポストリフト」という手技は、離床は難しいですが「胸郭」だけでも少し動かす事が出来るので、不動による痛みなどの軽減には、すごく役立っているのではないかと考えます

 

 

また肺にとって離床する事のメリットに関係した以下に詳しく記事に書いていますので、気になる方は参照下さい

楽な肺理学療法②( 訪問看護師さん対象: 吸引) – ちんねんの徒然なる日記

 

 

 

禁忌

この手技も患者さんに物理的な刺激を加えるため成書では禁忌が記載されています

以下は1) より引用

「脊椎骨折(いずれの部位でも)、骨盤骨折(不安定な状態)、(多発)肋骨骨折、開胸術後など」

 

 

 

 

ポストリフトの実際  

①施術者は患者さんの横に位置し、背中とベッドの間に左右から両手を差し込み、背中から抱えるようにして持ちます

1

 

【ぼくの工夫点 その①】

両手を差し込む際、施術者の指先はだいたい肋椎関節付近まで深く差し込みますが、患者さんの背中とベッドとの摩擦によりスムースに手を入れにくい場面が多くあります

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またこの手技自体、離床が困難なほどの全身状態の悪い患者さんを対象にする事が多いです

 

 

つまり背臥位で長時間過ごされており、栄養状態も良好でない患者さんが多い

従って背中の皮膚も通常の状態ではなく、損傷しやすい状態にある場合が多いんですね

 

 

そういった患者さんの背中に、両手をグリグリ突っ込んでいくのは抵抗はありませんか?

ぼくはありました

そこで何とか患者さんの負担が少なく両手を差し込めないか考えていたら、「よくベッド上での移動・ポジショニングで使われるツルツルした摩擦の少ないグローブを使用したらどうか」 ということを思いつくに至った訳です

 

実際に使用してみると摩擦がかなり軽減するため、スッと指先を潜りこませる事ができます( ゚∀゚)

患者さんも痛くなさそうですし、ぼくも気持ち的にも物理的にも楽

 

 

 

ぼくが使ったグローブはコチラ

写真 2015-11-13 15 07 08

 

コチラ

 

またこの様な専門のグローブではなくてもディスポ(使い捨て)のポリエチレン製の手袋が代わりに使えます

こんなの

介護で使うのでよくベッドサイドに置かれていると思います

前腕部分までツルツルしていない分潜り込ませるのは大変というデメリットはありますが、使用ごとに消毒しなくてもいいというメリットもあります

 

 

 

②患者さんの吸気に合わせて背中を持ち上げる

5

呼気には持ち上げるのをやめます

 

 

【ぼくの工夫点 その②】

手を入れる高さの目安としては剣状突起付近なのですが、それよりも手の位置が尾方向になってくると、胸郭を引き上げると腰椎前弯を増強する形となっていしまいます

むっちゃ腰を反らせてしまうという事です

そうなると患者さんによっては痛みを誘発する場合もあるので、両膝の下に枕などを入れてあげることである程度緩和できます

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手の操作など分かりにくいので被検者、グローブなしでお見せしますと、

 

①棘突起を挟むような形で横突起付近に指腹を置く

4

じじじじ

 

 

②手首を軸に指節関節付近で引き上げるイメージで胸郭を引き上げます

6

 

 

 

呼吸介助 との併用も

神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ/小森哲夫/田中勇次郎/南雲浩隆の本のP140に呼吸介助をポストリフトに併用されている以下の写真が掲載されていました

写真 2016-01-30 9 38 24

ポストリフトで吸気を介助し、そのまま呼気を呼吸介助で介助するとの記載

今まで見たことも無かったので参考になりました

ぼくは一度もした事がないのでされている方が居たら教えてもらいたいです

 

 

注意

今回ご紹介した方法は、ぼくというフィルターを通しているため安全性の保障は全く出来ません

そのため施行の際には自己責任でお願い致します

 

 

 

引用・参照文献

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました

誰かの何かの参考になれば嬉しいです

がんばっていきまっしょい!

 

 

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