車椅子のタイヤとチューブを交換してみた
はじめに
通常、車椅子は事業者から介護保険を利用してレンタルされている場合が殆どなので、ぼくらセラピストは背張りの調整などのシーティングはする事はあっても、タイヤやチューブ交換まですることはありません
それはレンタル物品なので事業者さんに連絡をとると無料ですぐにしていただけるから
ただ車椅子を日常的に使われる方で事業者さんの休みの日を挟んでしまった場合や車椅子を自費で購入された方、また島など遠隔地で近所に自転車屋さんがない方で車椅子に問題があると非常に困った事になってしまいます
その際に参考になればという事で今回車椅子のタイヤやチューブ交換の記事を書いてみました
もちろんぼくはメンテナンスのプロではないので交換の際には自己責任でお願いします
在宅に関わるセラピストや看護師さん、ご家族やご本人の参考になれば嬉しいです
スポンサーリンク
今回、車椅子のタイヤとチューブ交換に関する記事を書いているのですが、タイヤやチューブを交換される際には何が一番大事なのかわかりますか?
それは リムに合うサイズのもの を使用する事です
せっかく新しいタイヤやチューブを買っても、リムにハマれなければちゃんと使えませんから
当たり前といえば当たり前ですね
さっきから出ているリムとはコレ
沢山のスポークが刺さっている金属のホイールです
間違えやすい所に「ハンドリム」という部品がありますが、これは手で車輪を動かす時に掴む所です
上の写真では「ハンドリム」は黒色の部分
普通タイプの車椅子を使用されている方は問題はないのですが、漕ぎやすさや方向転換しやすさを重視して細いリムを使用されている方がいます
そんな細いリムは、ワンプッシュで車椅子本体から車輪を取り外せるような特殊な車椅子に多くみられます
若い人やスポーツをされている方によく使われている印象
その際には、たとえタイヤのサイズが同じでもリムにうまくハマらない事があるので注意が必要です
そのような場合には一度車椅子を購入された(レンタルされた)店に問い合わせてから購入する方が無難だと思います
では、リムに合うサイズのタイヤやチューブはどうやってわかるのか? と疑問に思われる方がいると思います
答えから言いますと、それは交換するリムに今ついているタイヤで分ります
なので、そのタイヤのサイズの見方について説明していきたいと思います
タイヤサイズの見方
交換しようとするタイヤの側面には下の様に数字が書かれていると思います
これがタイヤサイズを表しているのですが、書き方には下の様に4種類あるので注意が必要
①インチ表示(分数表示)
呼び方:タイヤ外径は 22インチ で、タイヤ幅は 1と3/8(ハチブンノサン)インチ
②インチ表示(小数表示)
呼び方:タイヤ外径は 22インチ で、タイヤ幅は 2.125インチ
③フランス ミリ表示
呼び方:タイヤ外径は700mmで、タイヤ幅は25mm、対応リム記号はC
対応リム記号にはA~Dがあり、それぞれがリムの直径を表しています
④ISOミリ表示
呼び方:タイヤ幅が37mmで、タイヤ内径(= リム径)が630mm
「外径」と「内径」って何?っていう方もいると思うので簡単に説明しますと、タイヤの外側の縁の周りが外径で、タイヤの内側の周りが内径になります
絵でしめすとこんな感じ
タイヤの内径がリムの外径にもあたるので、タイア内径=リム径という言い方もします
ぼくとしてはこの④のISOミリ表示が一番わかりやすいのですが、みなさんいかかでしょうか?
リムと直接接している部分である「タイヤの幅」と「タイヤの内径」さえ分かればタイヤの互換性があるのかどうかわかるからです
例えば、タイヤの外径が同じでも「タイヤの高さ(厚み)」が違うため「タイヤの内径」が違って来ることがありまね
「タイヤの高さ」が高いものだったら同じ外径でも内径は小さくなってしまいます
となると、タイヤ外径が同じでもタイヤの高さが高いもの(分厚いもの)は内径が小さすぎてリムにはまない事もある訳です
こんな感じ
でも現実にはタイヤは外径で売られている場合がほとんど
なので、この④の様に内径ではなく外径を知りたい方が多いと思います
こちらのサイトで④のISOミリ表示から①のインチ表示(分数表示)と②のインチ表示(小数表示)の互換を示してくれていますので参考にしてみて下さい
ETRTOの所に書かれているのが④のISOミリ表示で、タイヤサイズの所に①のインチ表示(分数表示)と②のインチ表示(小数表示)が書かれています
これで交換するべきタイヤ と チューブのサイズが分かる思います
先ほど挙げた写真
このタイヤは親切に「ISOミリ表示サイズ」 と 「インチ表示(分数表示)」 が併記されています
「タイヤ幅37mm,タイヤ内径501mmのタイヤ」 または 「タイヤ外径 22インチ,タイヤ幅 1と3/8インチのタイヤ」 がこのリムに合う事が分かる訳です
後は実際に交換する際に使う道具 や方法について説明していきます
タイヤ(チューブ)を交換するのに使う道具
●空気入れ:タイヤにチューブを入れる際にねじれない様にするために使います
●タイヤレバー : 2~3本あれば十分です
●8mmのスパナ:バルブを固定するリムナットを外すのに使います
●150mmのモンキーレンチ:車輪を本体に固定するナットを外すのに使います。これよりも大きい方がより小さな力で外せると思います
※ 車椅子によってはこれらの工具が合わない場合もあります
○交換用タイヤ と チューブ :タイヤやチューブを交換される際には、リムに合うサイズを必ず使用する様に注意して下さい
○交換用の虫ゴム (あるいはスーパーバルブ):虫ゴムが寿命でパンクしてしまう事が結構あり、この部品だけを交換するだけで治る事があります。基本的に寿命は1年です。結構短いでしょ。100均で売ってます。虫ゴムの代わりに「スーパーバルブ」と呼ばれるものを使う事ができるのですが、これは寿命が10年となっていますのでコチラをおススメします
食と宴と自転車と・・・。様より引用
○交換用のリムテープ(リムベルト あるいは フラップ):チューブとリムとの間にあるクッションの役目をしているものなのですが、このテープが破れているためにチューブを傷つきパンクしてしまう場合があるので、テープが破れている様であれば交換しましょう。新しいチューブにせっかく交換してもこのベルトが破れていたらまたパンクしてしまいます
交換手順
ブレーキをロック
車椅子をひっくり返し、交換するタイヤ(チューブ)のある車輪を固定しているナットを緩めます
ブレーキのロックを外し、本体から車輪を外します
外れたらバルブのキューブキャップを外し、袋ナットを緩め空気を抜きます
8mmのスパナでリムナットを緩め、リムから袋ナット・リムナットを取り除きます
虫ゴムもとっておきましょう
この虫ゴムが劣化して単に空気が漏れている場合も多いので、この虫ゴムのゴム部分が破けていないかよく見てみる事をおススメします
これだと百均や自転車さんで100円ぐらいで購入して交換するだけでパンク(空気漏れ)が治る事もあります
リムからタイヤを外しにかかります
バルブから1番遠い所にタイヤレバーをねじ込みます
まず1本のタイヤレバーをねじ込んだらスポークに固定して、ねじ込んだタイヤレバーの近くに別のタイヤレバーを入れてタイヤをリムから片側だけ外していきます
タイヤを片側だけ外し終えたら、リムの外にバルブを押し出します
リムからバルブのついたチューブを引っ張りだします
チューブが外れれば、タイヤは手でリムから簡単に外す事ができます
これでハンドリムからタイヤとチューブを外すことができました
ここでリムについているリムテープ(リムバンド)が破れたりしていないか触って確認しましょう
これが破れていたりすると近いうちにまたパンクしたりするので注意
問題がなければそのまま使います
ここでタイヤを交換したい方は新しいタイヤに、チューブを交換したい方は新しいチューブに交換しておきます
後は今までやった手順の逆でやっていきます
まずタイヤの片側だけをリムにつけます
チューブのついたバルブをリムに仮固定(手でリムナットを締める)し、虫ゴム、袋ナットをとりつけて、チューブに空気を入れれる様にします
そしてチューブ全体がタイヤの中に入るようして、空気入れでちょびっとだけ空気を入れます
フニャフニャだったらチューブが捻れる事があるからなんでね
その状態でまずはタイヤの中に全てのチューブが入る様にします(まだタイヤはリムにちゃんとハマってない状態)
バルブのある方からチューブごとタイヤをフニフニ握って、タイヤごとチューブを完全にリムの中に入れていきます
フニフニするのはチューブが中でねじれたりしないためです
タイヤは最後の方は硬くてリムの中に入らないのでタイヤレバーを使ってはめ込んでいきます
この時中のチューブを巻き込まない様に注意
レバーを入れる前に指をツッコんでチューブが挟まってない事を確認しましょう
チューブを巻き込んでしまうと破れることがあります
最後はちょっと力が入りますがフン!とやってください
タイヤが無事にリムに入れる事ができたら、タイヤ全体をフニフニ握ってタイヤの中でチューブがねじれてないか確認
手に違和感を感じなければ、リムナットをスパナで完全に締めて固定し、規定圧まで空気を入れます
車輪を本体に固定します
ナットでしっかり固定できたら出来上がり
作業時間 : なれれば片輪20分程度
達成感 : 緊急時で患者さんも困っているのでかなり喜ばれます。なのでむっちゃあります。
どこかの誰かの参考になれば嬉しいです
がんばっていきまっしょい!
スポンサーリンク
車椅子関連リンク
・車椅子のタイヤとチューブを交換してみた
・車椅子のサイドバックを自作!
・車椅子用のバルーンバック入れ(車椅子バッグ : ピローレーシング)
・介助用車椅子を自走?(補高靴を使用した場合)
・横浜ゴムの超高級な車椅子クッション(Medi-Air1)
関連リンク
訪問看護
・褥瘡(床ずれ)の大きさを測るのにオススメなマスキングテープ
・栄養ドリンクのキャップを開ける道具を自作!
・ペットボトルのキャップや缶のプルトップを開けやすくするグッツ
・爪を切りたいが肉を切りそうで困っている方に!(ガラスの爪研ぎ:ブラジェク ガラス爪やすり )
・TVの音を消さないで、手元のスピーカーからも音が出るようにしてみた!(テレビ用 手元スピーカー ANS-301)
・防水モバイルスピーカー(SRS-X1 BC)を訪問看護・リハビリで使う!
・環境調整が重要である理由と、簡単な記録方法(ipad mni, LINE Brush Lite, KMC-36C)
・上着のファスナー(ジッパー)を簡単に上げる方法
・聴診器が壊れたので自力で修理してみた(リットマン マスタークラシックII )
・浴槽やシャワーチェアからの立ち上がりが難しい人に使えるブツ
・車椅子のタイヤとチューブを交換してみた
・車椅子のサイドバックを自作!
・リハビリ用に平台車?自作
・理学療法士だけど、踏み台を作ってみたよ!
・踏み台を固定しないでサクッと安定させる!
・理学療法士だけど、ベッドのゲタを作ってみた!
・1人で布団を掛けやすくするために(ふとんの三点固定)
・書字の自助具?
・拘縮悪化予防スポンジ
・手の拘縮悪化予防スポンジを改良してみた!
・背屈補助装具作ってみました?
・片麻痺患者用の腕ホルダー自作(弛緩性麻痺・肩関節亜脱臼予防軽減)
・トイレの臭い対策に窓用換気扇を設置してみた!(窓用換気扇設置、自作コンセントカバー)
・ドアノブを交換してみた!
・冷蔵庫に着脱可能な取っ手を着けてみた!( MCZ-5365)
・筋トレ部屋の障子(しょうじ)を張り替えてみた!
PC
・ノートパソコン(T552/FB)のプラスチック外装が壊れたのでプラリペアで修理してみた
・5年落ちのノートパソコン(T552/58FB) をSSDに換装したら爆速になった
・看護師さんのメーカー製ノートパソコン(AH42/G)のHDDが壊れたので直してみた!
・ノートパソコン(T552/58FB)のキーボードを交換してみた
・ノートパソコン(T552/58FB)をDIYでノングレア化してみた(LCD-156 W)
・スキャナで取り込んだ後のバラバラになった本を製本してみた
・液晶モニター台自作(焼桐で作成)
・液晶モニター台をもう1個作成 ( ワンバイフォー材 )
・卓上マイクスタンド自作(ブームマイクスタンドの様なもの?)
・iPad mini用 お風呂スタンド自作
・ページ数の多い2つのPDFを交互にページが見れるように編集し、1つのPDFにしてみた!
筋トレ
・チンニングスタンド(懸垂台)自作
・自作チンニングスタンド(懸垂台)をディップスが出来るように改造
・グリッドフォームローラー?(ストレッチポール?)の様なものを自作してみた!
・カーフ・レイズ用の台を作ってみた(下腿三頭筋の筋トレ)
換気扇
・窓用換気扇(VFW-25X2)をパワーコントローラー(PC-40)を使って風量調整してみた
・窓用換気扇(VFW-25X2)に自作シェードをつける
・窓用換気扇(VFW-25X2)を取り付けてみた
車
・サンシェード自作
・車に棚を設置(車の右トランクサイドガーニッシュを脱着)
・車内で快適に寝るためにベッドを自作
傘
・傘の骨(受骨)が折れたので修理してみた(間接爪US-024)
・傘の部品(下ろくろ)が壊れたのでプラリペアで修理してみた
・傘の修理を頼まれたので治してみた(親骨骨折 US-012)
木工
・丸のこ定規を自作してみた!
・2×4(トゥバイフォー)材で馬(工作用の台)を作ってみた!
・ディスクグラインダーのロックナット(固定ナット)を何とかして外した件
その他
・キッチンハンガー自作
・壁に100均のカゴをオサレに着けてみる
・電源タップを壁にかけてみた!
・靴の履き口の破れ補修 (河口 ジャージ用補修布・黒93017)
・今度は革靴の履き口の破れを補修!(Scotch 強力接着剤皮革用6025N)
お役立ち情報ありがとうございます。
病棟の車いすのタイヤパンクの報を受け、対応を考えていたところでした。
自転車のタイヤの部品でどうにかなるという知識だけは持ち合わせているものの、タイヤのサイズの調べ方がわからず困っていたところです。
自転車と部品も共通のものが多いですが、タイヤは違う事が多いので注意しないといけないですね
お役に立てたのなら良かったです