浴槽やシャワーチェアからの立ち上がりが難しい人に使えるブツ
はじめに
最近、寒い日が続いているため訪問看護で入浴介助する際にも、シャワー浴ではきつい時期になってきました
訪問看護師さんやヘルパーさんは浴室に十分お湯をはって浴室内を少しでも暖かくしたり、足湯をしながらシャワー浴をしたり、散髪のマントを被せた状態でシャワー浴をされてたりと、工夫されている方もいると思います
夏場は浴槽に入らずシャワーチェアに座ってお湯をかけてもらっても十分満足してもらえる患者さんも多かったと思いますが、冬はお湯に浸かりたいと思う患者さんも多いんじゃないでしょうか?
もちろん患者さんによって動作能力は全然違うため、こうすれば浴槽の中に浸かれますよとは言えませんが、特に浴槽内、あるいは浴室内での立ち上がりが難しい患者さんには、今回ぼくが紹介するブツが使える場合もある思うので、参考までに聞いて頂けたら嬉しいです
介護保険を使ってらっしゃる方の中には、もうすでに浴槽に簡易に取り付けられる手すりやスノコ、また浴槽内に入れる台、また浴室内に手すりを設置されている方もいるかもしれません
今回ぼくが紹介するものは、それらの機能を少し補うものでもあります
住宅改修や浴槽用リフトの設置など大掛かりなものではなく、1000円以内でできるちょっとした工作で作れちゃいます
ではそのブツをご紹介
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1.ブツを紹介
これがそのブツです
これは何かというとバスマットを何枚か切って貼り合わせたもの
厚みは8cmぐらいあります
実はこれはある方向けにぼくが作ったものです
今使われているシャワーチェアからの立ち上がりが難しく、座面があと8cmほど高くなれば、足の裏が床に離れない状態で楽に立ち上がれるギリギリの高さだったので厚みを8cmとして作ってみました
2.このブツがなぜ良いのかを説明
①今あるシャワーチェアの高さをすぐに高くする事ができる
だいたいのシャワーチェアは足の高さが微調整できる様な構造になっていますが、その調整をするのには椅子の足をそれぞれを調整しないといけません
ただ入浴介助中すぐに高さを上げ下げできないんですね
はじめに調整したらそれっきりって事が多いんじゃないでしょうか
また浴槽内に移られる際や浴室内を移動する際にシャワーチェアの座面を手すり代わりに使われている方もいると思います
患者さんの身体の状況によると思いますが、その移動のために座面をどうしても高くできないという場合もあるんですね
でも立ち上がりは楽にしたいので座面は高くしたいと…
ちょっと困ってしまいます
その移動の時は低い状態で手すり代わりに使って、そしてそのシャワーチェアに座る時にはこのブツをサッと敷いて座面を高くし立ち上がりを楽にする、という事ができちゃうんですね
②浴槽内に漬かっている状態でお尻の下に敷き込みやすい
浴槽内では肩まで浸かりたいという患者さんは多いと思いますが、立ち上がりが難しいからという理由で浴槽台を使って仕方なく半身浴になってしまっている方もいるかと思います
浴槽台とはこんなの
確かにこの台を使えば、浴槽からの立ち上がりは楽になるのですが、半身浴になってしまって肩はお湯に浸かれないという事があるんですね
こんな感じ
浸かる時だけ浴槽台を外せばいいやんと思われた方は鋭い
確かにその通りなんですが、このような浴槽台は結構な大きさがあるため、座る直前にお尻の下に置くという事が中々しにくいんですね
しかも浴槽台の足には吸盤がついているものがほとんどで、浴槽からの取り外しも大変といった事もあります
身体を洗っていたら身体が冷えたのでもう一度浴槽に入るなど、何度か浴槽と洗い場を往復する際にその取り外しに難儀してしまうんです
今回紹介するブツは通常の浴槽台よりもコンパクトなため、浴槽内で座る前にお尻を浮かしてもらったスキにお尻の下に置きやすいといった利点と、バスマット自体に結構な浮力があるのでちょっと立ち上がりを助けてくれるといった利点があります
ただその分、安定性はないため転倒リスクは浴槽台より高くなるので注意
浴槽内での立ち上がりに使えるような患者さんはかなり限られると思いますので、患者さんの能力を評価し自己責任で行って下さい
③工作が簡単
後で詳しく説明しますが、ホームセンターで売っているバスマットと接着剤とカッターで作れちゃいます
接着に要する時間を除けば15分程度
しかも丸のこやインパクトドライバーなどの工具は必要ありません
④すぐ乾いて軽く衛生的
もとがバスマットなので…すぐ乾きますし、軽いし、洗剤でゴシゴシできるので衛生的です
⑤普段のリハビリにも使える
下肢の筋トレに有効な椅子からの立ち上がり訓練時に座面を高くするのに使えます
立ち上がり訓練の詳細についてはコチラの記事の下肢の筋トレの所を参考にしてみて下さい
転倒予防にオススメの運動 (訪問看護師さん向けの転倒予防の講義③)
また特にパーキンソン病の方などはじめの2,3回だけこのブツを使って立ち上がりの難易度を下げてあげると、後は自力で行えたりする事があります
⑥環境調整の際に使える
これはぼくら訪問リハビリのスタッフや看護師さんにおススメなのですが、昇降式のベッドがまだ導入されていない患者さんの家で一体何cm高くしたら立ち上がりが可能なのか(あるいは楽なのか、安全なのか)を評価するのにこのブツを使います
接着剤でバスマットどうしを固定せず何枚か訪問の車に入れておけば、患者さんの家で簡単に評価できちゃいます
椅子などの座面に何枚か挟み込む訳です
軽いのでいいですよ
患者さんも実感しやすいのでおススメ
いったい何cmがいいんだろうと悩むことはないですか?
⑦柔らかく冷たくない
バスマットのほとんどは合成ゴムでできているのでクッション性があるんですね
しかもゴムなので直接肌に触れても冷たくないのは嬉しい
浴室でバスマットを使われている方は実感あるんじゃないでしょうか
⑧安い
今回は厚みが2cmのバスマットを使いましたが、600円ぐらいで購入できます
木材のコンパネでもこれより高いんじゃないんでしょうか?
簡単に加工もできるのにこの安さ
非常に助かります
厚みが倍の4cm以上になると2000円以上になるものも多いので、必要な厚みに応じて選ばれるといいと思います
では作り方を説明していきます
3.作り方を説明
3.1.材料
バスマット
近くのホームセンターで80cm×86cmの大きさで、厚みが2cmのものが600円ぐらいで安く売られていたので購入しました
厚みが4cmと分厚いのものもありますよ
カッター
分厚いバスマットを切るときにはできるだけ刃渡りの長く大きいもの使ってみてください
カッターマット
ない方は段ボールで代用されると良いです
接着剤
この接着剤じゃないとバスマット同士をくっつけることが難しいので注意してください
合成ゴム用の接着剤となります
プラスチックヘラ
接着剤を塗り広げるときに使います
あった方が接着剤をつかい過ぎなくていいですよ
なかったらコピー用紙を折り曲げて代用してみて下さい
3.2 シャワーチェアーの座面を型取りして、切っていく
①今回物を載せるシャワーチェアの座面を新聞紙で型取りします
シャワーチェアの座面からはみ出しすぎても危ないので、しっかり型取りするといいですよ
②、③型取りをもとにバスマットに印をつけていきます
今回は8センチ必要だったのでちょうど4枚1つのバスマットから取れました
④カッターマットの上にバスマットを押し上からカッターで何回も往復させることで切り取っていきます
結構簡単に切れます
3.3 接着剤でくっつけていく
⑤ すぱっと切れます
勢い余って机を切らないようにするために何か下に敷いておきましょう
⑥バスマットに書いてある材質の説明に書いてあるEVA樹脂とは合成ゴムのことです
普通の接着剤ではゴム同士を接着することが難しいのでこの接着剤を使います
⑦接着剤を垂らした後、ヘラで塗り広げます
⑧接着剤の説明書には冬場は5分で固まると書いてありますが、ぼくの印象では重たい荷物を乗せ12時間圧着させるとしっかり固まる印象です
その他の使い方を紹介
利用者さんの中には自前の車椅子を持っている方
あるいは費用の関係で座面の高さを調整できるようなモジュール型の車椅子をレンタル出来ない方
あるいは車椅子をレンタルしているけど数cm座面を高くして試してみたい方
レンタル用のクッションでは座面の高さが少し足らない方
また座面を高くすることのメリットを実感してもらいたい時など
訪問場面で車椅子の座面の高さをちょっと変えてみたいという事は結構あります
その際にもこのバスマットを使った方法が大活躍
ただこの際、バスマット何枚かを載せるだけではズレてしまうので、百均の滑り止めシートを使用して滑りにくいバスマットにして使います
この滑りにくいバスマットの上なら、レンタルされているクッションを上に置いても滑りにくいです
滑り止めシートなしではズルっといって危ないですよ
作り方は簡単で、適度な大きさに切ったバスマットの上に滑り止めシートをかぶせてタッカーと言うホッチキスの親分みたいなので固定して、滑り止めシートの端がビラビラしないようにシートの端を梱包用のテープで貼り付ける固定するだけ
こんな感じ
実際に車椅子に乗せてみるとこんな感じ
安全の保証は出来ませんので、自己責任で試してみてください
最後に
寒くなってきたので入浴に関わる記事を書いてみました
試される前にはきちんと評価し、他の関わっているスタッフと相談した上で、患者さん同意のもと自己責任で行って下さい
どこかの誰かの参考になれば嬉しいです
頑張っていきまっしょい!
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