夜間頻尿もCOPDと同じ(夜間頻尿も運動療法で改善できるかも)

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はじめに

今月の18日(金)に今治国際ホテルで今治医師会の勉強会があり、愛媛大学泌尿器科の福本哲也先生下部尿路症状(LUTS:ラッツ)の講演をして頂けるという事なので参加してきました

 

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早く来すぎてしまった……

 

 

今回参加した理由としては、訪問リハに関わっていた頃もそうですし、今回復期病棟にいても遭遇するのですが、夜間頻尿で眠れないため日中傾眠状態になったり、転倒したりしやすくなったりする患者さんに関わる事が結構あるんですね
 
そこで理学療法士として患者さんに関わる際に、何かヒントになる事を聞けるかもしれないと思って参加しました

 

 

また数年前から理学療法士の間で流行っているウイメンズヘルス関係でされている骨盤底筋体操などの運動療法についても、ひょっとしたら話があるかなぁと期待していました 
 

 

今回も復習を兼ねて印象に残った事などを箇条書きにしておこうと思います

ただぼくというフィルタを通したものであるで、講義をして頂いた福本先生の趣旨とは異なるのでご注意下さい

 

 

講義して頂いた内容

過活動膀胱治療薬として抗コリン薬が昔から使われていたが、最近は副作用の少ないβ3アドレナリン受容体作動薬に置き換わりつつある。今回この勉強会を後援していただいたアステラス製薬の方が、β3アドレナリン受容体作動薬のベタニス錠について詳しく説明してくれました

 

 

●膀胱の特徴として、自律神経臓器で唯一随意的に動かせる臓器であり、蓄尿と排尿という全く正反対の機能を持つ。
 
●解剖生理の復習  
 
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看護roo! 様より引用

 

 

●疫学的には60歳以上の男性でLUTSで困っている方が多い。特に80歳を超えると60%以上の人が困っている

 

 

●LUTSの中で一番多い症状が夜間頻尿(他の症状には前立腺肥大などがある)

 

 

●LUTSとメタボリックシンドロームとの関連が面白い 

 ○メタボリックシンドロームがLUTSのリスクファクターとなっている(J Urol 2009, 182:616) 

 ○メタボリリック症候群に伴う全身性炎症がLUTSに影響しているかもしれない

 
  ⇒ これは内臓脂肪が多ければCOPDになるリスクが高くなる可能性があるというCOPDとメタボリックとの関係ともよく似ていると感じました
 
  ⇒ 逆に言えばメタボの改善が排尿障害の改善にも繋がる可能性があるという事
 
  ⇒ 排尿障害にもぼくら理学療法士が骨盤底筋体操以外でも関われる可能性あり
 
 

 

夜間頻尿の定義原因について詳しくはコチラの文献参照 

 

 

夜間頻尿の原因(膀胱蓄尿障害、24時間尿量増加、夜間女性増加、睡眠障害など)は沢山あるため、どの原因でなっているか明らかにする必要がある

それを見極める方法として排尿日誌がある

これは朝起きてから翌日の朝まで、排尿した時刻とメモリ付コップなどで測定した排尿量を日記のように記録するものでおおよその原因を知ることができる

ぼくらセラピストでもかなり使えるのではないかと思います

 

 

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●面白かった話としては、65歳以上の人は日中飲水量を増やすと有意に夜間尿量が増えるが、65歳未満の人は尿量が変わらなかった。脳卒中の予防のために血液をサラサラにせにゃアカンとマスコミが言っていた影響か飲水量が多い人いるけれど、予防のエビデンスはく減塩の方が効果があるというデータもある

 

その話に関連する文献としては、日本老年医学会雑誌 50巻 4 号(2013:7)P437に同様の記載あり

高齢者は脱水になりやすいので注意は必要だが,脱水状態にない人がさらに水分摂取をしても梗塞性疾患を予防できないともいわれる.実際の指導として,夜間の飲水過多を避け,1 日の飲水量は体重の 2~2.5%,24 時間尿量は 20~25 mLkg 程度,を指導するのが 適当と思われる

 

 

夜間排尿 回数が2回 以上の方は1回 以下の方に比べて生存率が有意に低下

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●転倒関連で言えば夜間排尿回数が2回 以上の方は骨折の危険率が約2倍 になる

(Nakagawa H eta:J Uro 184:14131418,2010)

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●夜間頻尿の原因は主に3つ

①夜間多尿、②睡眠障害、③蓄尿障害

泌尿器科がもっとも活躍できるのが③の蓄尿障害

 

 

●夜間多量の原因 

  ・昼夜逆転でも起きる。問診と排尿日誌で診断できる事も多い

  ・心不全がベースにある場合もある

  ・睡眠時無呼吸(SAS)⇒下垂体虚血⇒抗利尿ホルモンがでなくなる

 

 

●対策としては、①体内に余分な水分を貯留させない(排尿日誌をつけてもらう)②昼間の(サイアザイド系)利尿薬投与 ③行動療法 ④減塩 ⑤夜間の尿産生を減らす

 
 
●その他面白かった話としては
 ・年齢を重ねると眠りの深さは浅くなるのに、床についている時間が増える傾向にある。それなのに入眠時間が早かったりする。そりゃ途中で起きてしまいますわ。
      
 ・喫煙(ニコチン)は睡眠バランスを崩す ets

 

 

 

今回、とても興味深い話をしていただいた福本先生、今回の講義を企画していただいた今治医師会のスタッフの皆様、ありがとうございました

 

どこかのだれかの参考になれば嬉しいです

がんばっていきまっしょい!

 

 

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