心リハのwebiner(心臓病トータルケアセミナー)に参加

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はじめに

以前に心リハ研修でお世話になったやわたメディカルセンター主催の勉強会という事で参加させていただきました

もちろん心リハ指導士の更新ポイントもゲットする目的も兼ねています

今回講義して頂いたのは横浜南共済病院の鈴木誠先生で、テーマは「新たなstageを迎えた心不全治療術~心臓リハビリテーションの重要性を含めて~」でした

 

 

こちらの本を書かれている先生だったので、多職種連携についても話して頂けるかも、と期待して受講させていただきました

今回も忘備録を兼ねて箇条書きにまとめていきます

注意点として、ぼくというバイアスがかかっているので先生の発言や意図とは異なると思います

メモを元に書いていますが、見違い、記憶違い、書き違いもありますよ

なのでそのあたりを考慮した上で参考にして下さい

 

 

 

内容

●心不全とそのリスクの進展ステージ

ステージA(心臓の病気はないけどリスクはある状態)・B(高血圧管理が不十分で心筋のリモデリングが起きている:器質的変化はあるが症状がない状態)は長い年月を要すため、この間に治療をして症状の出る心不全(ステージC)に移行するのを予防していく事が大切

 

 

 

●HFmrEF(ミットレンジの心不全)というのは、改善あるいは悪化の過程をみている

急性・慢性心不全ガイドライン2017年改訂版 より引用

 

 

●最近のガイドラインでは心不全が疑われる場合心筋バイオマーカー(BNP、NT-proBNP)をチェックした上で、心エコー検査(収縮力・弁膜症・壁運動異常)でチェック

 

 

●心筋虚血などストレスが加わると主に左室からPro-BNPが作られ、それが活性型のBNPと非活性型のNT-proBNPに1対1で分解される

BNPはホルモン活性があり様々な多臓器に対して保護する作用を行うが、NT-proBNPはホルモン活性はなくてそのまま腎臓で排出される

ただ分子量がBNPの10倍あり安定しているので検査での指標によく使われる(血清・血漿ともに使える。室温で24時間安定)。一方BNPはネブリライシンという酵素で分解されしまうため不安定。

YUMINO medical 様より引用

 

 

●BNPが100以上、NT-proBNPが400以上が心不全の可能性があるので専門医に紹介して下さいというカットオフ値になっている

→ これに基づいて開業医の先生に紹介をお願いした所、ステージAと思われた患者さんの中に半分近くステージBの患者さんがいたとのこと(自験例)

 

 

●サムスカは入院しないと導入できない(投薬調整のために入院)

 

 

●今後高齢化が更にすすむ(2007年生まれの50%は100歳以上になる)

2007年~2015年の日本の再入院率を調べたデータでは、1年以内の再入院率がほとんど改善していない(J Am Heart Assoc.2018)

再入院の原因はほとんどセルフケアの問題(JCARE-CARD)で高齢者では特に問題

 

 

 

●栄養状態(CONUTスコア)不良・介護度の大きい患者さんほど予後不良

CONUT法についてはコチラの論文が分かりやすかったです

医療法人 岡部医院からのお知らせ より引用

 

●筋萎縮は安静によって早期に顕著(筋力は3~5% / day低下)し、筋力低下は予後に不良に直結するため、早期離床がトピックになっている

 

 

200mを自力歩行可能かどうかが、CPX(あるいは6MD)を行えるかどうかの1つの目安にされている

➡臨床でもどのタイミングで6MDをやるべきか迷う事がありますので、とってもいい指標を教えて頂きました

後から調べてみると、この事は「心臓リハビリテーション標準プログラム(2013 年版)」の病態評価の必須項目の所(P6)に、「運動負荷試験は心リハ室での機器を用いた運動に移行する際には、200m~300mの歩行負荷試験を行い、亜最大もしくは症候限界性運動負荷試験を運動に慣れた後に行う」との記載がありました(・・;)

 

 

●心不全患者に対する心リハの実施によって、死亡+再入院リスクは23%減、死亡リスクは33%減、再入院リスクは18%減(Circ Heart Fail.2020)

フレイルの程度は心不全患者の予後の強力な規定因子(Circ Heart Fail.2020)

HEFpEFの患者に対しても心リハは予後改善効果がある(Circ Heart Fail.2020)

➡ ここ数年トピックとなっている「フレイル対策 = 心不全対策」にも繋がる話ですね

PT協会も今年「フレイル対策推進マネージャー」なる資格を作ったりしていますし、今後もフレイル対策が中心になっていきそうな感じです

 

 

心不全患者の評価 

①FIMの運動・認知項目 

②MMSE-J(認知症の程度が全死亡・再入院率の独立因子) 

LSNS-6(社会的孤立度の評価):たとえ家族と一緒に暮らしていても孤立している場合、独居よりも再入院率が高いというデータもある

 

日本老年医学会雑誌 48巻 2 号(2011:3)より引用

 

 

●HFpEFの患者さんに対する治療内容としては、症状をとるために利尿剤を使用したり、合併してる疾患に応じた治療を行いましょうという方針となっている

 

●HFrEFの患者さんに対する治療は確立されているが、ACEIやARBに代わってARNI(アーニー:アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬)が新しい薬として出てきている

ARNIはBNPを分解してしまうネプリライシンの働きを邪魔しBNPが血中に残りやすくなる

ACEIやARBでコントロール良好な患者さんに対してもARNIに移行すべきか? 

→ ACEIやARBを使っていてもNT-proBNPが1000を超えている患者さんには、ARNIを使う事で1000を下回る可能性が増える(予後が改善する)かもしれない

 

 

●ステージDの患者さんに対する緩和ケア2018年度診療報酬改定で認められた → 詳しくはコチラ

だた条件は厳しい(1年の間に2回入院して終末期と判断 )ため、次回の改定では1回目でもできる様に働きかけていく

癌の緩和ケアとの違い:癌は最終末に近づくにつれ緩和ケアの割合が徐々に増え、積極的な治療はほとんど0になるが、心不全の場合は最終末でも積極的な治療が一定量行われる

異端児ナース(真鍋哲子)ブログ 様より引用 (ここでいうCが心不全にあたる)

 

 

●ACP:意思決定支援・人生会議

意思決定のタイミングはいつ行えばいいのか?:DNAR(Do Not Attempt Resuscitation:二次心肺蘇生措置)のコードを取るタイミングでは遅すぎるため、元気な時からする様にと言われている

 

 

外来心リハで意識されている事としては、患者さんが来たくなるような雰囲気を作る(予後を悪化させるFIM・認知・社会的孤立を改善させる)

 

 

 

 

最後に

鈴木先生には1時間という非常に短い時間で心不全の診断方法や最新の心不全治療薬について、またぼくが勤務している病院でもできそうな評価などについても、非常に分かりやすく説明していただけました

加えて緩和ケアの制度的な事についても話して頂き、あとから調べるいいきっかけになりました

またまだ表面的な理解しかできていない状態ですが、今後も心不全の患者さんとの関わりつつ学んでいきたいと思います

 

今回講義して頂いた鈴木先生、やわたメディカルセンターのスタッフの皆様、ありがとうございました

どこかのだれかの参考になれば嬉しいです

頑張っていきまっしょい!

 

 

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